研究課題/領域番号 |
26860679
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
漆葉 章典 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, トランスレーショナルメディカルセンター臨床開発部, 流動研究員 (70635078)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内科 / 病理学 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
本研究は封入体筋炎(IBM)の病態形成におけるインフラマソームの関与、役割を明らかにすることを目的としている。今年度はIBM患者凍結骨格筋におけるインフラマソーム構成蛋白(ASC、NLRP3)の発現を免疫組織化学的に解析した。その結果、インフラマソーム構成蛋白の高発現を呈する筋線維(筋細胞)が散見された。一方、他の炎症性筋疾患でも、特に壊死・再生線維では、インフラマソーム構成蛋白の発現が認められることがあった。またインフラマソーム介在性の炎症で重要な役割をもつとされるIL-1βを含む各種サイトカイン血中濃度を測定したが、IBM患者群のIL-1β血中濃度は、健常対照群より有意に高かったものの(P<0.01)、疾患対照群(多発筋炎、皮膚筋炎、抗合成酵素症候群、自己免疫介在性壊死性ミオパチー、および遺伝性筋疾患)との有意差は認められなかった。 IBM患者筋組織中でのインフラマソーム構成蛋白の発現上昇は確認されたが、IBM以外の炎症性筋疾患でも発現が見られ、特異性という観点でより慎重に解析する必要性が出てきた。今後IBMにおけるインフラマソーム構成蛋白の発現量や活性化の程度を他の筋疾患と定量的に比較検討していく。 尚、血中サイトカイン濃度測定実験の過程で、IP-10血漿濃度が各種炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患との鑑別に有用なマーカーになり得ることを発見し、その内容を論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IBM患者凍結骨格筋でのインフラマソームの発現上昇を確認した。これは申請者の仮説に合致する結果である。一方、他の炎症性筋疾患においても、特に壊死・再生線維ではインフラマソームの発現が観察された。インフラマソームの発現上昇の特異性について、より慎重に検証する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
IBM患者凍結骨格筋でのインフラマソーム構成蛋白の発現上昇が、他の筋疾患に比してIBMでより顕著に見られる現象であるかどうかを検証するために、今後IBMにおけるインフラマソーム構成蛋白ならびにその下流現象の発現量や活性化の程度を定量的に他の筋疾患と比較検討する。
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