細胞膜に存在するジストロフィン糖タンパク質複合体はO-マンノース型糖鎖を介して細胞外マトリックスと結合している。このO-マンノース型糖鎖に異常が生じることにより、脳や眼の異常を伴う先天性筋ジストロフィー症を発症することが知られている。今回、網膜色素変性症の患者から糖転移酵素POMGNT1の新規変異が同定された。これらの変異POMGNT1は酵素活性が10-30%に減弱していた。一方、先天性筋ジストロフィー症の患者で見つかるPOMGNT1の変異体は酵素活性が完全に消失している。以上の結果より、糖鎖を少し合成できると先天性筋ジストロフィー症の発症は抑えられるが、網膜色素変性症を発症すると考えられる。
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