研究課題
研究目的は環境エンリッチメントが及ぼす食行動変化とそのメカニズムの解明である。方法はマウスへ環境エンリッチメントを加えて、食行動を解析することである。マウスは高脂肪食への嗜好性が高く、かつ肥満糖尿病になりやすい、C57BL/6マウスを用いた。飼育環境への介入手段である環境エンリッチメントとは、広いケージ、噛ることのできる木材(数種類)、巣を作るためのシート、穴のあいたプラスチック製のドームやなどを用い、マウスへ感覚的、認知的な刺激を与えることである。環境エンリッチメントの期間や種類により様々な報告があり、本研究においても、それらが食行動に与える影響を考え解析するのに適した条件を検討した。また、食行動の評価方法としては、高脂肪食事と低脂肪食を同時に与え、どちらを多く摂取するかを検討した。我々が作成した環境エンリッチメントにおける、食行動をやせ型のマウスで解析したところ、環境エンリッチメント群では、対照群と比較して高脂肪食の摂取量が有意に低いことがわかった。ストレス付加による高脂肪食の摂取が増加するという報告はいくつか存在する。しかし、環境エンリッチメントという、マウスのストレスを軽減することで知られている条件での脂肪への嗜好性の変化を詳細に解析した報告はない。これまで得られたデータは環境がいかに個体の行動へ影響を与えるかについて示唆に富むものである。これまで得られたデータをもとに、学術雑誌への投稿を目指し、本研究成果を更なる発展へとつなげていく予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)
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