• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

脂肪細胞の褐色化における亜鉛シグナルの役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 26860700
研究機関順天堂大学

研究代表者

福中 彩子  順天堂大学, 医学部, 研究員 (60586402)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード亜鉛シグナル / 脂肪細胞褐色化 / 肥満 / 2型糖尿病 / ベージュ脂肪細胞
研究実績の概要

(具体的内容) 肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、肥満によって2型糖尿病のリスクが高まる。脂肪組織を構成する脂肪細胞は、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に機能的に分けられる。白色脂肪細胞はエネルギーを貯蔵する一方で、褐色脂肪細胞はエネルギーを消費する。そのため、白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への転換「脂肪細胞の褐色化(ベージュ化)」現象が、肥満・糖尿病対策の観点から注目を集めている。
Zip13のノックアウトマウス(KOマウス)や変異型ZIP13を保持するエーラス・ダンロス症候群患者では脂肪萎縮症の存在が指摘されていたことから、脂肪組織におけるZIP13の役割に着目して解析を進めた。その結果、KOマウスでは白色脂肪細胞のベージュ化が亢進することを見いだした(未発表)。本年度は、ZIP13が制御する褐色化誘導メカニズムを明らかにすることを目標とした。
KOマウスで見られた表現系が、細胞で観察できるか検討した。間葉系幹細胞(C3H10T1/2細胞)を用いてZip13のノックダウンを行ったところ、褐色化の亢進が見られることがわかった。次にKOマウスとコントロールマウスから前駆脂肪細胞を採取し、不死化細胞を樹立した。このKO細胞ではコントロール細胞に比べて褐色化が亢進していた。さらに、KO細胞にZIP13を外因性に発現させると、褐色化は抑制できることが判明した。これらの結果から、C3H10T1/2細胞、不死化細胞株共に、ZIP13の機能解析を行う上で良いツールとなることがわかった。現在これらの細胞株を用いて、褐色化に重要な因子の発現変化を解析している。
(意義・重要性) 亜鉛トランスポーターZIP13による亜鉛シグナルに着目し、褐色化誘導メカニズムを追求する本研究は他に類を見ず、肥満関連疾患に対する新しい治療法の開発に貢献する可能性を有する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞レベルでもZIP13が褐色化に関わることが明らかとなった。また、エーラス・ダンロス症候群の患者で保存されているアミノ酸点変異の性状解析を行った結果を発表した(Bin BH, et al., EMBO Mol. Med. (2014))。この変異によって、ZIP13のタンパク質が分解され、細胞内亜鉛の恒常性が破綻することにより、病気が引き起こされる可能性が示唆された。ZIP13が制御する脂肪細胞褐色化においても、細胞内の亜鉛の恒常性変化が重要であるかは今後検討するべき重要な課題である。

今後の研究の推進方策

(1)ZIP13のどのような機能が褐色化に重要であるかを調べる。特に亜鉛輸送能と褐色化が関連しているか検討する。
(2)作製したKO細胞などを用いて、褐色化に重要な転写因子などの発現変化を詳しく調べる。変化があったものに関しては、KO細胞に過剰発現(またはノックダウン)して表現系がレスキューできるか検討し、ZIP13が制御する標的分子を同定する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Human IAPP-induced pancreatic beta-cell toxicity and its regulation by autophagy2014

    • 著者名/発表者名
      Shigihara N#, Fukunaka A#(#equal contribution), Hara A#, Komiya K, Honda A, Uchida T, Abe H, Toyofuku Y, Tamaki M, Ogihara T, Hiddinga HJ, Sakagashira S, Koike M, Uchiyama Y, Yoshimori T, Eberhardt NL, Fujitani Y#, Watada H.
    • 雑誌名

      J Clin Invest.

      巻: 124 ページ: 3634-44

    • DOI

      10.1172/JCI69866

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Molecular pathogenesis of Spondylocheirodysplastic Ehlers-Danlos syndrome caused by mutant ZIP13 proteins2014

    • 著者名/発表者名
      Bin BH, Hojyo S, Hosaka T, Bhin J, Kano H, Miyai T, Ikeda M, Kimura-Someya T, Shirouzu M, Cho EG, Fukue K, Kambe T, Ohashi W, Kim KH, Seo J, Choi DH, Nam YJ, Hwang D, Fukunaka A, Fujitani Y, Yokoyama S, Superti-Furga A, Ikegawa S, Lee TR and Fukada T
    • 雑誌名

      EMBO Mol. Med.

      巻: 9 ページ: 1028-42

    • DOI

      10. 16262/emmm.201303809

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エーラスダンロス症候群原因遺伝子Zip13を介した脂肪細胞褐色化制御機構2015

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、深田俊幸、梶村真吾、綿田裕孝
    • 学会等名
      第29回日本糖尿病・肥満動物学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-02-14
    • 招待講演
  • [学会発表] エーラス・ダンロス症候群原因遺伝子Zip13による脂肪細胞褐色化制御機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      福中彩子
    • 学会等名
      第2回東京未来医療フォーラム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-02-06
  • [学会発表] エーラス・ダンロス症候群原因遺伝子Zip13による脂肪細胞褐色化制御機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、深田俊幸、梶村真吾、綿田裕孝
    • 学会等名
      第26回分子糖尿病学シンポジウム
    • 発表場所
      高知
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] エーラス・ダンロス症候群原因遺伝子Zip13による脂肪細胞褐色化制御機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 学会等名
      第64回日本体質医学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-09-06
  • [学会発表] エーラス・ダンロス症候群原因遺伝子Zip13による脂肪細胞褐色化制御機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、深田俊幸、梶村真吾、綿田裕孝
    • 学会等名
      第19回アディポサイエンス・シンポジウム
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-08-23
  • [学会発表] ヒトIAPPが誘導する膵β細胞傷害と オートファジーによる制御2014

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、鴫原奈弓、原朱美、小宮幸次、本田彬、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 学会等名
      第51回臨床分子医学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-11
  • [図書] Diabetes update2015

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 総ページ数
      52
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] Diabetes strategy2015

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、藤谷与士夫、綿田裕孝
    • 総ページ数
      48
    • 出版者
      先端医学社
  • [図書] Zinc signals in cellular functions and disorders.2014

    • 著者名/発表者名
      Fujitani Y, Tamaki M, Fukunaka A, Watada H
    • 総ページ数
      345
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 内分泌・糖尿病・代謝内科2014

    • 著者名/発表者名
      福中彩子、宮塚健、綿田裕孝
    • 総ページ数
      92
    • 出版者
      科学評論社

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi