研究課題
1.近赤外時間分解分光法(NIRS-TRS)によるヒト褐色脂肪(BAT)評価: 新規ヒトBAT評価法であるNIRS-TRSの評価妥当性を調べるため、BAT活性化効果があるカプシノイド(カプサイシンの類縁体)を6週間摂取する前後でBATを縦断的に評価した。まず、少数の被験者を対象にカプシノイド摂取前後でPET/CTを行ったところ、BAT活性が有意に上昇した。続いて、カプシノイド摂取前後でNIRS-TRSによるBAT評価を行ったところ、6週間後にBATの有意な増加が認められした。NIRS-TRSはヒトBATの経時変化を調べる有用なツールであることが明らかになった。NIRS-TRSは放射線被曝が全くない点でPET/CTよりも優れている。2.ヒト褐色脂肪の季節変動と熱産生: ヒトBATの代謝活性は内臓脂肪面積や糖代謝状態の規定因子となるが、大きく季節変動する。BATの季節変動が熱産生能に及ぼす影響を調べた。健康な成人を対象に室温19℃の寒冷環境に2時間曝露した際のエネルギー消費変化(寒冷誘導熱産生, CIT)を夏と冬に測定した。CITは夏に比べて冬に上昇し、この季節変動はBAT活性が高い者ほど大きかった。3.褐色脂肪の活性化に有効な食品成分の探索: BAT活性化効果が期待される食品成分を探索するため、すでにインスリン感受性改善作用を有することが知られているローヤルゼリー(RJ)に着目し、この作用とBATの関係を調べた。C57BL/6Jマウスを通常食(ND群)、高脂肪食(HFD)、高脂肪食+5% RJ粉末(RJ群)で17週間飼育したところ、ND群に比べてHFD群で顕著な体重、体脂肪量の増加と血糖値、血中インスリン濃度の上昇、インスリン抵抗性指標(HOMA-IR)の上昇が認められたが、RJ群ではHFD群に比べ、全ての指標が低値を示した。BAT活性を規定するUCP1の遺伝子、たんぱく質発現量はRJ群で有意に上昇していた。RJはBATの活性化を介して体脂肪減少効果とインスリン抵抗性改善作用をもたらすことが示唆された。
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