研究課題
原発性アルドステロン症はアルドステロン産生腺腫(APA)と特発性アルドステロン症 (IHA)に大別される.APAにおいてカリウムチャネル(KCNJ5)やイオンポンプ(ATP1A1やATP2B3)などに遺伝子変異が同定され,それらがアルドステロン合成に関わっていることを我々は報告してきた.遺伝子変異がみられないAPA(APA-WT n=8)とKCNJ5体細胞変異を認めるAPA(APA-KCNJ5 n=6)を用いて,網羅的遺伝子発現解析を行った.GO解析などからG蛋白共役受容体(GPCR)の発現に両者で有意な違いがあることがわかった.GPCRの中でもGNRNR(Gonadotropin-releasing hormone receptor)が,APA-WTにおいて最も高発現していた.両群におけるGNRHR発現をqPCRでも確認したところ,APA-WTで有意に高値であった(P<0.05).APA症例を対象に,腫瘍摘出前にGnRH刺激試験を実施したところ,GnRH刺激によるアルドステロン上昇率とGNRHR発現量に強い正の相関がみられた(r=0.726, P<0.001).また,GNRHRが発現するAPA-WTにおいてのみ,GnRH刺激によるアルドステロン上昇が顕著であった.HAC15(副腎皮質癌細胞株)にレンチウイルスを用いてKCNJ5 T158Aを導入し,in vitroにおいてKCNJ5の遺伝子異常がGNRHRに与える影響を検討したところ,GNRHR発現量はコントロールに比較し0.64倍と有意に低下していた(P<0.05).APAにおいて,GNRHRがアルドステロン合成に関与することが示唆された.特に,APA-WTにおいて,GNRHRを介したアルドステロン合成を認め,APA-WTにおけるアルドステロン合成の分子機序を解明する一助になると考える.
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