生後の体格形成には、GH刺激によるGHR二量体化、JAK2の活性化、STAT5Bのリン酸化、リン酸化STAT5Bの核移行、そしてIGF1遺伝子の転写亢進というGH-IGF1軸シグナルが定説とされてきた。我々はEpha4遺伝子欠損マウスの体格が小さいことを発見し、GH-IGF1軸におけるEphA4の作用機序をin vivoとin vitroで詳細に解析した結果、EphA4がGHR/JAK2によるSTAT5Bのリン酸化を制御すること、さらにJAK2非依存的にもEphA4がSTAT5Bを直接リン酸化すること、結果としてIgf1 mRNA発現量を亢進することが明らかとなった。また、さらなる解析により、EphA4とGHR、EphA4とSTAT5Bの結合様式、さらにEphA4がSTAT5Bの核移行をJAK2非依存的に促進していることも明らかとなった。今回申請した通りGHR/EphA4/JAK2/STAT5B複合体におけるEphA4-JAK2の相互作用、および、下流のSTAT5Bのリン酸化を調べた結果、JAK2はEphA4のキナーゼドメインN端側に結合し、EphA4 はJAK2のC端側に結合することが判明した。また、JAK2はEphA4、さらにEphA4に結合しているSTAT5Bをリン酸化しないということ、EphA4はリガンドのephrinによる刺激で活性化することでJAK2との結合がより強固になり、JAK2をリン酸化することを明らかにした。そして、STAT5Bのリン酸化にGHRが必須であるということを発見した。以上、今まで明らかとなっていなかったGHR/EphA4/JAK2/STAT5BシグナルにおけるJAK2とEphA4の相互作用や、それによるSTAT5Bのリン酸化・核移行について実験を進めることができ、現在、データをまとめて論文作成中である。
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