研究課題
本研究はCLEC-2の巨核球・赤血球分化成熟に対する病態生理学的作用の解明を目的とし、平成26年度は①骨髄内CLEC-2リガンド(podoplanin, PDPN)陽性細胞の探索と、②巨核球・赤血球系造血細胞のCLEC-2発現パターンの解析を実施した。1. 骨髄内CLEC-2リガンド(podoplanin, PDPN)陽性細胞の探索マウス大腿骨骨髄を試料とし、凍結薄切切片の免疫組織化学染色(IHC-Fr)でPDPN発現細胞の探索を実施した。その結果、骨髄細動脈の周囲に位置する間質細胞がPDPNを強く発現していることが明らかになった。さらに、PDPN陽性間質細胞の近傍でCD41陽性の巨核球系細胞コロニーが形成されていることを確認した。以上の結果から、骨髄の細動脈のpericyteがPDPN陽性であり、このPDPN陽性間質細胞を介して巨核球の造血が行われている可能性を示唆するに至った。次に、PDPN陽性間質細胞の同定を試みた。FACSによる表面抗原解析の結果、リンパ節内のfibroblastic reticular cells (FRCs)に極めて似た性質の細胞であることが判明した。以降、本研究ではこの骨髄PDPN陽性間質細胞を「BM FRC-like cells」と呼称することにした。2. 巨核球・赤血球系造血細胞のCLEC-2発現パターンこれまでの知見から、巨核球のCLEC-2発現パターンは未熟巨核球から発現が認められることが明らかになっている。本研究では巨核球に加え、赤血球系造血細胞とCLEC-2の関連も検討する。マウス骨髄赤芽球をFACSでTER119とCD71の発現パターンによって成熟段階ごとに分類し、CLEC-2の発現を検討した。その結果、赤芽球のどの成熟段階においてもCLEC-2の発現は認められず、さらには赤血球でもCLEC-2の発現が認められなかった。
2: おおむね順調に進展している
本研究の平成26年度の目的は骨髄内CLEC-2リガンド(podoplanin, PDPN)陽性細胞の探索と、巨核球・赤血球系造血細胞のCLEC-2発現パターンを解析することである。本年度はそれら目的を達成することができたため、順調に進展していると評価した。
平成27年度は巨核球造血(megakaryopoiesis)に対するCLEC-2の作用を解析すべく、巨核球のclonal expansionと成熟について検討する。巨核球clonal expansionは、巨核球前駆細胞を対象にMegaCult-Cを用いたsemisolid collagen cultureによるcolony formation assayと、in vitro分化誘導における巨核球産生数の2手法で評価する。巨核球の成熟度に対するCLEC-2の解析は多核化とproplatelet formationに焦点を当てて解析する。また、平成28年度以降に赤血球造血に対するCLEC-2の作用解析を予定している。そのため、平27年度は赤血球系細胞のin vitro分化誘導法の構築に着手する。
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