研究課題
平成28年度においては、前年度までの研究成果に基づいて、血管内と中枢神経に病変を形成する悪性リンパ腫に着目して検討を進めた。血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)については、マウスモデルより得られた腫瘍細胞について、網羅的遺伝子変異解析に着手し、疾患特異的な遺伝子変異の有無について探索を開始した。中枢神経に病変を形成する悪性リンパ腫については、経過中に中枢神経浸潤を来したDLBCL患者、特定の節外臓器に病変の形成を来した患者より得られた腫瘍細胞を複数経路から免疫不全マウスに異種移植し、中枢神経と腹部臓器に生着した腫瘍細胞をセルソーター及び磁気ビーズを用いて純化し、網羅的遺伝子変異解析及びRNAシーケンス解析を行った。網羅的遺伝子変異解析については、生着した臓器間において認められた遺伝子変異の差違について有意なものかどうかについて検討を加えている。RNAシーケンス解析については、生着した各臓器の腫瘍細胞間において遺伝子発現が異なることが確認され、現在その妥当性と病態との関連について検討を加えている。また、リンパ節病変では、腫瘍関連線維芽細胞が腫瘍細胞を支持していることから(Aoki T, Shimada K et al. Oncotarget 2016)、中枢神経における腫瘍細胞の生存に関与する支持細胞について探索した。患者及びマウスの中枢神経病変よりアストロサイトを単離し、単離したアストロサイト上で腫瘍細胞の生存が支持されることが示唆される知見を得た。今後、中枢神経病変における腫瘍細胞と間質細胞の相互作用についても検討を進めて行く。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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