悪性リンパ腫の治療成績は、抗体医薬併用化学療法により向上しているが、経過中の節外臓器浸潤はしばしば予後不良となる。本研究では、悪性リンパ腫の臓器特異的な病変形成に関わるメカニズムのための研究を行った。その結果、血管内大細胞型B細胞リンパ腫においては、腫瘍細胞の細胞遊走が阻害されていることが病態に関与している可能性を明らかにすることが出来た。さらに節外病変を形成する悪性リンパ腫に高頻度に認められる19番染色体長腕の増幅に着目し、同染色体上に存在するSPIB遺伝子が抗アポトーシス作用に関与し、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の新たな予後不良因子となることを明らかにすることが出来た。
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