研究課題/領域番号 |
26860727
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蝶名林 和久 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00646010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MDS / iPS細胞 / 造血前駆細胞 / 血液分化異常 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画に沿って、平成26年度に下記の進捗があった。 1)MDS-iPS 細胞の作製:MDS患者の末梢血及び骨髄の細胞にエピソーマルプラスミド法でiPS細胞樹立を引き続き行い、現在20q欠失症例など計6症例においてMDS細胞由来iPS細胞株と正常細胞由来iPS細胞株の樹立に成功した。樹立したMDS-iPS細胞はGバンド法、SNP-CGHアレイ解析などによりMDSと同一の染色体異常を保持していることを確認した。また、MDS-iPS細胞、正常iPS細胞いずれについても多能性幹細胞マーカー遺伝子の発現を確認し、またテラトーマ形成法によりテラトーマ形成能を確認した。 2)MDS の病態再現:MDS-iPS細胞から分化誘導した造血前駆細胞は正常iPS細胞と比べてコロニー形成能の低下及びBFU-E、CFU-E、 CFU-GEMMの減少を認めた。また造血前駆細胞から赤芽球系、顆粒球系への特異的分化誘導を行い、細胞表面抗原の解析を行ったところ、MDS-iPS細胞由来のものではそれぞれ赤芽球特異的CD235a、顆粒球特異的CD66bが低下していた。 3)MDS 特異的原因因子の探索:樹立したMDS-iPSのうち、20q欠失MDS-iPS 細胞と同一患者由来の正常iPS 細胞を再誘導して得られた造血前駆細胞分画(CD34+CD38-CD43+Lineage-)をソーティングにより選別して、網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、20q欠失MDS-iPS細胞では欠失領域20q11.2-13.1にある遺伝子群の多くに発現の低下が認められた。20q欠失MDS 症例の血液単核細胞及びMDS-iPS 細胞のゲノムDNA を材料に、同一患者から樹立した正常iPS 細胞を対照として全エキソンシークエンスを行い、網羅的に遺伝子変異を探索し、いくつかのMDS-iPS特異的遺伝子変異を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、上記のように1)MDS-iPS 細胞の作製、2)MDS の病態再現、3)MDS 特異的原因因子の探索、を計画していた。1)と2)についてはほぼ達成できた。3)については、平成26年度中に行う予定であった網羅的DNA メチル化解析などのエピゲノム解析を平成27年度に行い、すでに得られている網羅的遺伝子発現解析及び遺伝子変異解析の結果と組み合わせることで、候補因子の絞り込みを進める。 以上のように、当初検討していた実験計画に関しておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記1)、2)、3)の課題は引き続いて行う。 MDS特異的原因因子の候補因子について、順次MDS-iPS 細胞に導入もしくはノックダウンして、造血誘導を行い、分化異常の改善や異常クローンの増殖抑制などの効果を確認する。有望な標的因子については阻害剤などの探索を開始する予定である。 利用可能な化合物を、上記のMDS 病態再現系でスクリーニングして、MDS 病態を抑制するような薬剤/化合物を選定する。薬剤スクリーニングの効率を上げるために、血液前駆細胞を大量に得られるよう細胞密度、サイトカインコンビネーションや分化誘導時間などの分化誘導方法の最適化を行う。同時にiPS細胞の維持培養方法や保存方法の改良、また実際に薬剤スクリーニングに用いるMDS-iPS細胞株、正常iPS細胞株の選択を行う。
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