研究実績の概要 |
初めに急性白血病細胞株を用いて生体イメージング系を立ち上げた。マウス白血病細胞株であるC1498に各種蛍光タンパクをレンチウイルスを用いて導入し、マウス頭蓋骨を2光子励起顕微鏡にて観察した。白血病細胞は骨髄腔内の血管に沿って運動することが明らかとなった。またこのモデルにcytarabineを投与すると白血病細胞は運動を止めるが、疾患が再燃すると再び運動を開始することがわかった。これまで報告されてきた骨髄生体イメージングの解析法はsemi-automaticな方法でありバイアスの入る可能性があるため、automaticに解析する方法を立ち上げた。その方法を用いても白血病細胞は化学療法を行うことにより運動が低下することが明らかとなった。また化学療法から残存した一部の細胞が骨芽細胞と相互作用を起こしている様子も観察された。 これらの実験系を慢性骨髄性白血病に応用した。wild typeマウスよりckit(+),Sca-1(+),lineage(-)の造血幹細胞/前駆細胞を採取し、レトロウイルスにてBCR-ABL-ires-EGFP遺伝子を導入した。さらにその細胞を半致死的に放射線照射したマウスに移植し慢性骨髄性白血病モデルを作成。その骨髄を観察した。慢性骨髄性白血病細胞も骨髄内を激しく運動している様子が観察された。またこのモデルに対し分子標的療法を行った場合、骨髄内の腫瘍細胞量は減少するものの運動自体に大きな変化は認められなかった。
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