研究課題/領域番号 |
26860733
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒崎 創 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70464295)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 血友病 / 人工染色体ベクター / iPS細胞 / 細胞補充 |
研究実績の概要 |
血友病モデルマウスよりiPS細胞を作製し、FVIII遺伝子搭載人工色体ベクターをiPS細胞に導入し肝芽細胞・血管内皮前駆細胞へ分化誘導する。作製できた細胞を移植しその治療効果を検証する。 血友病モデルマウス由来線維芽細胞からのiPS細胞作製については、微小核細胞融合法による初期化遺伝子搭載ベクター移入によりクローンを取得し、未分化マーカーの良好な発現が認められた。また染色体解析を行ったところ、正常に近い染色体核型をもつクローンは20クローン中3クローンであった。治療細胞作製として効率は低いながらもES細胞同等の未分化マーカーの発現が観察されたため、CHO細胞中で構築していた、治療遺伝子であるFVIIIを搭載させたベクターを導入した。取得したiPSクローンの上清を用いてClotting AssayによりFVIII産生を測定したところ、ドナーであるCHO細胞上清中のFVIIIと比較して同等かそれ以上の機能的な発現を確認した。現在この初期化及び治療後の取得クローンを用いて、iPS細胞性能を実証するためにキメラマウスを作製している。また同様のクローンを用いて分化誘導と解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実験計画通りであり、特に問題なく進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の最終的なゴールはFⅧ-Luc-HACを保持するiPS細胞を血管内皮前駆細胞及び肝芽細胞へ分化誘導後、FⅧ発現細胞をモデルマウスへ移植し、長期治療効果を血漿中FⅧ発現解析により評価することであり、今後もメインとして行っていく。概要で述べたように、作製してきた初期化及び治療細胞のソースとなるiPS細胞クローンそのものがベクタードナーであるCHO細胞と同程度のFVIII発現が確認できた。そのためiPS細胞そのものが、治療細胞、あるいはチャイニーズハムスター由来CHO細胞に代わる同種由来の高産生細胞になり得ることが示唆された。未分化マーカー発現レベルやキメラマウス作製などの結果からより安全性の高い(がん化しない)良好なクローンを選定し、in vivoでの治療効果をモデルマウス移植により評価することも今後行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
分化誘導用試薬の購入時期を遅らせた。本課題で作製してきた分化誘導前のiPS細胞の有用性が示唆され、その性能評価を優先させたため。
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次年度使用額の使用計画 |
iPS細胞性能に問題はなく、むしろこのクローン自体を直接治療に利用するための実験資材購入に充てる。
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