研究課題
骨髄異形成症候群(MDS)は、染色体数の増減と、エピゲノム変化や遺伝子点突然変異の蓄積とを背景に発症する疾患で、血液細胞の強い形態異常を特徴とする。このため、責任遺伝子候補を欠損させたMDSモデルマウスを作製するには、異なる複数の遺伝子欠損マウスを交配する必要があり、多大な労力を要する。本研究は、人工ヌクレアーゼを用いて7番染色体長腕欠失(7q-)のモデルマウスを作製する目的として、欠失部位に存在する4責任遺伝子(Samd9L, Samd9, Miki, CG-NAP) 及びその周辺領域のヘテロ欠損マウスを作製し、解析することを目的とする。前年度にポジティブコントロールを用いてマウス受精卵でCRISPR/Casシステムが正常に立ち上がったことが確認できたため、続いてMikiとCG-NAPのCRISPR/Casプラスミドを作製し、C57BL/6マウスもしくはSamd9Lホモ欠失マウスの受精卵にマイクロインジェクションを行い、CG-NAP遺伝子欠失マウスとSamd9L/Miki欠失マウスの作製を試みた。しかし、CRISPR/CasプラスミドのDNA毒性の影響が強く、目的マウスの産出が叶わなかったため、crRNAとtracrRNA、Cas9タンパクをインジェクションする方法を立ち上げ、作製した。また並行して、染色体大領域欠失マウスモデルの作製に挑戦した。ヒトで同定した共通微小欠失領域に対応する、MikiとSamd9Lの全ゲノム領域を含む約230kbの領域の両端にCRISPRプラスミドを設計し、マウス受精卵前核に共導入し作出を試みたが、当初計画していた数10kb単位のdelの挿入は極めて頻度が低く、またloxP配列を挿入する手法もloxP配列の一部が挿入されるのみで、技術的に難航した。現在目的領域を欠失させたES細胞を用いて、染色体大領域ヘテロ欠失マウス作出を試みている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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