まずin vitroにおいてTNF存在下でAmlexanoxは100µg/mlでMLL/AF4陽性ALLの細胞株SEM・RS4;11のS100A6発現を有意に抑制し、最終的にP53のアセチル化を阻害を解除しCaspase 3の活性化を通じたアポトーシスを誘導することがウエスタンブロット法で明らかになった。次にin vivoの実験にはMLL/AF4陽性ALLの治療モデルとして我々が作成したMLL/AF4Tgマウスを用いた。このマウスは胚細胞にMLL/AF4遺伝子をウイルスベクター経由で組み込んであり、出生1年でほぼ全例B220陽性ALLを発症する。このモデルはヒトの病原型を反映した類のない画期的なモデルであり独創的である5。これを0.02%Amlexanoxを飼料に混入した群と、通常飼料の群に分け、1年後の白血病の形成を比較したところ、Amlexanox投与群では1例のみ白血病発症を認たのに対し、Controlの通常飼料群では全例白血病発症を認めた。各マウスの脾臓から抽出したタンパクにおいてウエスタンブロット法を行ったところin vivoの実験と同様にAmlexanoxはMLL/AF4陽性ALLのS100A6発現を抑制し、最終的にP53のアセチル化を阻害を解除しCaspase 3の活性化を通じたアポトーシスを誘導するとが示された。S100A6をターゲットとして腫瘍免疫や造血幹細胞移植の効果を増強する治療はMLL/AF4陽性白血病の治療にbreakthroghをもらたす可能性のあるものと考えられる。また現在一般的に抗アレルギー薬として国内外で使用されているAmlexanoxを用いて、S100A6の抑制作用を引き起こすことによってMLL/AF4陽性白血病を治療する試みはは独創的かつ将来性が期待できる。
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