研究課題
本年度において、申請者は主にCRISPR/Cas9システムを用いた、CD34+/- 造血幹/前駆細胞(HSPCs)からのCD34抗原のノックアウトの系の立ち上げを行った。予備実験として、最初に、ヒトHSPCsが高度に純化される、ヒト臍帯血由来18Lineage-CD34+CD133+細胞への遺伝子導入の条件を検討した。導入遺伝子は、陽性コントロールとしてGFPが組み込まれたプラスミドを用いた。遺伝子の導入方法は、浮遊系細胞へ高効率で遺伝子導入が可能と報告されている、nucleofectionにより行った。その後、遺伝子の導入効率をFCMにて解析した。その結果、18Lineage-CD34+CD133+細胞にほぼ100%の効率でGFP遺伝子を導入出来ていることが確認された。次いで、CD34遺伝子のエキソン1をターゲットとしたgRNA配列を設計した。その後、この配列のオリゴをレポーター遺伝子としてGFPが組み込まれたプラスミドpx458に組み込んだ。次に、このCD34遺伝子ノックアウト用のプラスミドを、ヒト臍帯血由来18Lineage-CD34+CD133+細胞にnucleofectionにより導入した。その結果、当該細胞からのCD34抗原のノックアウトに成功した。また、同時に作製済みである、CD34+/- HSPCsに結合性を示す抗体ライブラリーより、DP MSCによるヒトHSC支持能阻害活性を有する抗体のスクリーニングに従事した。その結果、前年度に見出したクローン4.4.1とは異なる、新たなヒト骨髄由来Lin-CD45+CD271+SSEA-4+陽性分画より樹立したMSC (DP MSC)からのHSC支持能に対する阻害活性を有する抗体クローン8.1.2を見出した。現在、このクローン8.1.2が認識する抗原の同定を試みている。
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Cell Transplantation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.3727/096368916X694201
Blood
巻: 128 ページ: 2258~2260
10.1182/blood-2016-03-704668