研究課題/領域番号 |
26860752
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (70724780)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫寛容樹状細胞 / Cキナーゼ阻害剤 |
研究実績の概要 |
我々は、以前ヒトの未熟樹状細胞の成熟過程において、プロテインキナーゼC阻害剤(PKCI: bisindolylmaleimide I)を加えることで、共刺激分子の発現の抑制と高いIL-10産生が認められ、安定性のある免疫寛容樹状細胞(PKCI-tDCs)を誘導している。今年度はPKCI-tDCsと既報告の誘導物質、IL-10 、TGF-beta、vitamin D3 (Vit D3)、dexamethazone (Dexa)、rapamycin (Rapa)、PPARgamma+retinoic acid (PPAR+RA)の6種類のいずれかを加えて誘導したtDCsとの比較検討を行った。①表面マーカー、②貪食能、③CCL19に対する遊走能、④IL-10およびTGF-betaの抑制型サイトカインの含めたサイトカイン、⑤T細胞増殖抑制能、⑥Foxp3陽性T細胞(Treg)およびIL-10産生細胞(Tr1)の誘導能の項目について比較検討を行った。表面マーカーについては、Rapaで誘導したtDCs以外は、immatureあるいはsemi matureの表現型を示し、貪食能はすべてのtDCsに同等に認められた。これらのうち、CCL19に対する遊走能が維持されていたのはPKCIのみであった。IL-10の産生はIL-10とPKCIで誘導したtDCsで多く、TGF-βはPKCI-tDCsで高値であった。T細胞増殖抑制能が高いのは、PKCI、IL-10、Vit D3、PPAR+RAの4種類から誘導されたtDCsであり、Tr1誘導能が高いのはIL-10とPKCI、Treg誘導能が高いのは、PKCIとPPAR+RAであった。上記結果から、PKCI-tDCsは、臨床応用に使用するにおいて有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PKCI-tDCsと既報告の誘導物質、IL-10 、TGF-beta、vitamin D3 (Vit D3)、dexamethazone (Dexa)、rapamycin (Rapa)、PPARgamma+retinoic acid (PPAR+RA)の6種類のいずれかを加えて誘導したtDCsとの比較検討を行って上記概要結果を得た。 上記物質を用いて誘導したtDCsについてT細胞増殖抑制能、制御性T細胞誘導能についても比較検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoでの有効性を比較検討するため、マウスを用いた実験の準備を進めていく。 ANCA関連血管炎患者末梢血から誘導したPKCI-tDCsを用いて、PR3-ANCAもしくはMPO-ANCAに対する抗原特異的Treg細胞の作成をex vivoで行っているが、現時点では十分できていない。患者末梢血サンプルの多くはステロイドや免疫抑制剤を用いており、リンパ球の数や増殖が悪いためと考えられ、今後実験方法、細胞について検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ANCA関連血管炎患者末梢血から誘導したPKCI-tDCsを用いて、PR3-ANCAもしくはMPO-ANCAに対する抗原特異的Treg細胞の作成をex vivoで行っているが、現時点では十分できていない。また、マウスを用いた実験が遂行できていない。このため、一部の研究費を次年度に繰り越す。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した研究費は、試薬や培養液に充当予定。 次年度も研究計画書に沿って、研究費を使用し、研究を遂行していく予定である。
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