樹状細胞は、自己免疫疾患,アレルギー疾患などの発症と制御に大きく関わっており、獲得免疫に関して重要な役割を持っているが、免疫寛容を導く点においても重要である。上記の疾患の分野では、副作用が少なく寛解を維持できる可能性のある抗原特異的な免疫寛容樹状細胞(tDCs)が注目されている。我々は、以前プロテインキナーゼ阻害剤(PKCI)を加えることで、安定性のあるtDCsが誘導できたことを報告した。既報告の6種類の誘導物質で比較検討したところ、T細胞増殖抑制能、Treg誘導能、誘導能などからPKCI-tDCsが最も有力である結果を得た。さらに臨床的に有用かを確認するため、患者末梢血を使用して、PKCI-tDCsが誘導できるかを検討した。前年報告したシェーグレン症候群(SS)、MPO-ANCA関連血管炎(AAV)に加え、関節リウマチでも検討した。SS患者においては、前年から引き続いて検討をすすめ、約20名のSS患者の末梢血からPKCI-tDCsが誘導できた。関節リウマチの患者9名からもPKCI-tDCsが誘導が確認できた。AAVに関しては、ステロイドの投与の影響か誘導が困難であったが、今後初回発症の患者の血液で誘導できるかを検討している。また、SS患者において、M3RT細胞エピトープの解析を行っており、その候補エピトープをパルスし自己抗原特異的なTregの誘導について解析を行っている。上記のとおり、抗原特異的免疫抑制療法の確立のための研究をすすめることが出来たと考えている。
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