研究課題
全身性エリテマトーデス(SLE)は発熱や全身倦怠感、皮膚の発疹や関節炎等の症状を伴う全身性の自己免疫疾患で、重症例ではさらに腎臓や中枢神経、血管の障害が起こり症状は多岐にわたるが、その発症原因や発症機構の詳細は不明である。本研究では、多様な機能を有するヒトT細胞共刺激分子CD26に着目し、SLEではヒトT細胞膜上のCD26の発現が低下していることを見出したが、SLEにおいてこのCD26の発現低下は何を意味するのか、T細胞のCD26の発現パターンがSLEの多様な病態や活動性を判断する新たな診断バイオマーカーとなりうるかを明らかにすることを目的とした。これまでの本研究により、SLEにおけるT細胞のCD26の発現低下は、CD4 T細胞、CD8T細胞のどちらもPerforin・Granzyme B強陽性の細胞傷害性T細胞の増加を反映していることが示唆された。特に細胞傷害性のCD4 T細胞は健常者の末梢血中にはほとんど存在せず、疾患に特徴的な変化と考えられた。そこでCD26陰性T細胞の増加がSLEの病態といかに関係しているか、病型や活動性、血清中の抗dsDNA抗体価、補体価、IFN-a濃度などとの相関を解析した結果、初期治療後にプレドニゾロンを10mg未満にするのに24カ月以上かかったSLE患者では、CD4 T細胞中のCD26陰性の割合が有意に高く、CD8 T細胞でも同様の傾向が見られ、初期治療時にステロイドやその他免疫抑制剤による効果が出にくいステロイド減量困難例である可能性が示された。
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Cytotechnology
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Front Biosci
J Dermatol Sci
巻: 86 ページ: 212-221
10.1016/j.jdermsci.2017.03.005.