研究課題
健常人末梢血より分離したCD14陽性細胞に培養開始時よりM-CSF、培養開始4日目よりRANKLを分化刺激因子として添加して破骨細胞分化誘導を行い、RANKL添加時にドパミン関連刺激を加えた際の破骨細胞分化への影響を検討した。破骨細胞分化については、培養開始14日後に酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRAP)染色を行い、TRAP陽性かつ3核以上の多核細胞を破骨細胞様細胞として評価した。破骨細胞機能評価として、破骨細胞特異的遺伝子であるcathepsin Kの発現は定量的PCR法、象牙切片上の骨吸収窩形成はpit assayで評価した。培養開始4日目RANKL刺激後の細胞内cAMP濃度は蛍光アッセイ法、c-Fosの発現は定量的PCR法及び蛍光染色法、破骨細胞分化のマスターレギュレーターであるNFATc1の発現は定量的PCR法を用いて評価した。加えて、LPS誘導骨粗鬆症モデルマウスに対する影響をex vivo破骨細胞培養系を用いて評価した。培養開始前CD14陽性細胞及び培養10日目までのヒト破骨細胞前駆細胞は、D1~D5ドパミン受容体を発現していた。RANKL刺激時のドパミン添加により、14日目のTRAP陽性多核細胞は濃度依存性に有意に減少した。また、D2様受容体作動薬の添加にて、TRAP陽性多核細胞は減少した。ドパミン及びD2様受容体作動薬は、RANKL依存性のcathepsin Kの発現を有意に抑制し、象牙切片上の骨吸収窩面積を減少させた。さらに、ドパミン及びD2様受容体作動薬は、培養4日目の細胞内cAMP濃度、c-Fosの発現及び破骨細胞前駆細胞核内への移行、NFATc1の発現を抑制した。ex vivoにおいては、LPS刺激マウスに経口的にD2受容体作動薬を加える事により、マウス骨髄由来破骨細胞分化を抑制した。以上より、ドパミン受容体D2様受容体シグナルは細胞内cAMP濃度の低下とともに、c-Fos及びNFATc1の発現を抑制し、ヒト破骨細胞形成を直接的に抑制する事が示された。
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