研究課題
結核菌感染マクロファージがネクローシスに誘導されると感染の拡大を起こし、アポトーシスに誘導されると感染の終息をもたらすことが知られており、結核菌感染マクロファージのネクローシス誘導を抑制し、アポトーシス誘導を促進することが可能になれば、結核の有効な治療につながると考えられる。様々な細胞で、receptor-interacting serine-threonine kinase (RIP) 3 が動員され、ネクローシスが誘導されることが確認されている。そこで、結核菌感染マクロファージのネクローシスの誘導においてもRIP3が関与しているかを確認するために、結核菌感染マクロファージのRIP3の機能を抑えることで、ネクローシス、結核菌の増殖がどのように変化するかを検討した。ヒト末梢血単核球由来マクロファージにsiRNAをトランスフェクションし、RIP3の発現を抑制した状態で、結核菌強毒株H37Rvを感染させたところ、H37Rv感染マクロファージのネクローシス誘導とH37Rvの増殖は抑制された。また、caspase 8が何らかの原因で活性化出来ないとRIP3が動員され、ネクローシスが誘導されるという報告があり、H37Rv感染マクロファージにおけるcaspase 8とRIP3の相互作用を検討するため、両者の細胞内局在を解析した。ウェスタンブロット法にて、H37Rv感染マクロファージにおいて不活化caspase 8とRIP3のミトコンドリアへの局在が確認された。以上より、結核菌感染マクロファージのネクローシス誘導は、RIP3とcaspase 8の相互作用により制御されている可能性が示唆された。
4: 遅れている
実験で使用するヒト末梢血単核球の入手が困難であったため、全体的に研究の進行が遅れてしまった。
基本的には、研究目的、研究実施計画に従い、研究を進めて行く。ヒト末梢血単核球の入手が困難であったため、平成27年度は厚生労働省の「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に基づいた献血血液の使用、ヒト細胞株(マクロファージ様THP-1細胞等)の使用も検討する。
研究実施計画よりも研究の進行が遅れているため、物品の購入が計画より少なかったため。
次年度の研究費と合わせて、研究実施計画に従い、物品の購入に充てる予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 3件)
Journal of Clinical Microbiology
巻: 53 ページ: 1436-1438
10.1128/JCM.03339-14
BMC Infectious Diseases
巻: 14 ページ: 684
10.1186/s12879-014-0684-z
Journal of Infectious Diseases and Therapy
巻: 2 ページ: 171
10.4172/2332-0877.1000171
診断と治療
巻: 102 ページ: 822-826
慶應保健研究
巻: 32 ページ: 27-32
巻: 32 ページ: 83-86
巻: 32 ページ: 87-93
巻: 32 ページ: 95-100
巻: 32 ページ: 113-117
呼吸器内科
巻: 27 ページ: 68-71