研究課題
世界的感染拡大を契機に、Cryptococcus gattii (C. gattii) が注目されているが、本感染症に関する知見は乏しいと言わざるを得ない。本研究ではC. gattii感染症の病原機構解明ならびに臨床応用への基盤形成を目的とした。研究代表者は国立感染症研究所の協力を得ながらC. neoformansならびに高病原性C. gattii接種マウス肺を活用した組織学的解析、CD4陽性リンパ球の感染制御効果、樹状細胞ワクチンの感染制御効果判定、DNA microarray法等を遂行した。その結果、高病原性C. gattii接種マウス肺では肺胞腔の不規則な拡張と重積をみたが、肉芽腫は少数かつ小型であり、生体防御反応がほとんど惹起されておらず、IFNγならびにCD4陽性リンパ球の関与が限定的であることが解明された。一方、樹状細胞ワクチンで各種サイトカイン応答を増強すれば、高病原性C. gattii接種後でも生体防御反応を誘導することが可能となり、菌体の増殖を抑制し得ることが判明した。さらに、DNAマイクロアレイ法では高病原性C. gattii 接種マウス肺のみでLog2変換後に2倍以上の発現亢進を示す281遺伝子を明らかにした。これらの遺伝子群でPgk1が最も発現亢進していたことから、当該遺伝子が高病原性C. gattiiの病原機構に関与している可能性が示唆された。以上、高病原性C. gattiiは生体防御反応を誘導させにくい特徴を有しているが、ワクチン接種等で各種サイトカイン応答を増強すれば菌体の増殖を抑制できることが判明し、網羅的遺伝子解析では病原性への関与が示唆される候補遺伝子が抽出された。得られた成果はC. gattiiの病原因子解明ならびに臨床応用への基盤形成に貢献し得るものである。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件)
Malaysian Journal of Pathology
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