申請者は高活性型ケモカインを用いたCTL誘導型ワクチンアジュバントの開発を目的に研究を推進している。平成26年度は、哺乳類細胞発現システムを用いたケモカインXとその活性増強体の蛋白質作製系の構築を行った。作製した2種類のケモカインの細胞遊走活性をin vitroケモタキシスアッセイによって評価したところ、2種類のケモカインともにそのケモカインの受容体を発現した細胞に対する細胞遊走活性を示した。また、それらの細胞遊走活性を比較すると、高活性体の方が約10倍高い活性を有することを明らかとした。さらに作製した高活性体とモデル抗原であるニワトリ卵白アルブミン (OVA) をC57BL/6マウスの皮内に2週間隔で3回免疫を行い、最終免疫の1週間後に回収した所属リンパ節中のOVA特異的CTLを検出した。その結果、抗原とケモカインを併用投与したマウスではOVA特異的CTLが検出されたが、抗原のみを投与したマウスでは全く認められなかった。この結果から、ケモカインXの高活性体は抗原特異的CTLを効率よく誘導しうることが明らかとなった。 今後は、ケモカインXの高活性体をマウスに投与した後の、樹状細胞やT細胞などの免疫細胞の動態を解析するとともに、がんやインフルエンザに対する治療や予防効果の検討を進めていく予定である。
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