研究課題
申請者は高活性ケモカインを用いたCTL誘導ワクチンアジュバントの開発を目的に研究を推進している。これまでに、申請者らの研究グループは、ケモカインXの構造活性相関から細胞遊走活性が約10倍向上した高活性ケモカインXを見出している。平成27年度に、高活性ケモカインXは野生型ケモカインXに比べてin vivoにおいて対応する受容体を発現した樹状細胞を投与部位に集積させることを明らかとした。また、高活性ケモカインとモデル抗原OVAを併用投与したマウスに対してOVA発現腫瘍を接種する予防的プロトコールにおいて抗腫瘍効果を検討した結果、高活性ケモカイン併用群は野生型ケモカイン併用群とともに、OVA単独免疫群に比べて非常に強い抗腫瘍効果を発揮することを見出した。平成28年度は、腫瘍を生着させた後に免疫を行う治療的プロトコールにおいて抗腫瘍効果を検討した結果、OVA単独免疫群ならびに野生型ケモカインの併用免疫群では有意な抗腫瘍効果は見られなかったが、高活性ケモカイン併用群では有意な抗腫瘍効果を示した。また、高活性ケモカインを併用免疫したマウスのリンパ節中では、他群と比べてOVA特異的CTLの割合が最も高く、OVA特異的傷害活性も有意に高かった。これらの結果は、高活性ケモカインは野生型ケモカインよりもCTL誘導ならびに抗腫瘍効果を発揮する非常に有効なワクチンアジュバントであるものと考えられる。
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