高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)感染は重症化すると、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症する。ウイルスの中和には抗体が必要であるため、抗体産生において重要な抗原提示細胞の一つである樹状細胞に着目した。H5N1感染ではT細胞と結合する樹状細胞が減少し、抗体産生が低下していた。更にH5N1感染を効果的に防御するワクチニアウイルスをベースとしたワクチンを接種したところ、T細胞と結合する樹状細胞の数が増加したことから、H5N1感染によるARDS発症には樹状細胞数低下による液性免疫応答の低下が原因であることを証明した。
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