研究実績の概要 |
研究1.心電図で早期再分極を有する小児の実態調査を行った。学校心臓検診受信者7,540名(小学1年生3,100名、小学4年生2,044名、中学1年生2,396名)を対象とした。省略4誘導心電図で、J点からST部分について、0.1mV 以上の上昇を早期再分極陽性と定義し、頻度などを検討した。小学1年生では5.26%、小学4年生では6.36%、中学1年生では10.31%が早期再分極を有した。学年ごとに早期再分極の陽性率は上昇し、側壁・下壁での頻度が増加した。 研究2.体表心電図で早期再分極を認めた小児例について、心磁図を用いた解析を行った。心磁図で得られたから波形からもQRSの直後に心電図でのJ波に一致した時相でも電流が続いている、という所見が得られた。しかし、ベクトルアローマップによる電流のパターンなどでの心磁図で用いる指標による心室細動発症のリスクの予測は困難であった。 研究3.心室細動の原因解明を進めるため、従来の電気生理学的評価および心磁図解析に加え、同意が得られた症例に対して網羅的な遺伝子解析を進めることとした。これまで8例の心室細動症例から採取した約2mlの全血からDNAを抽出し、Ion Proton (Thermo Fisher社) を用いたCardiovascular Panelシークエンスを施行し、現在解析中である。今後、診断精度の向上や予後予測など臨床応用を目指して研究を継続する。
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