研究実績の概要 |
末梢血中の繊維細胞数を評価するには従来、単球細胞を分離し、一旦培養して付着する細胞を用いて検討されてきた。しかし、この方法では、付着細胞を培養器から剥離して数える必要があり、正確な繊維細胞数を確定するには大量の血液が必要となり、小児患者を対象とした検討に用いることは困難であった。そこで、本年度は少量の血液を用いて、末梢血中の繊維細胞をCD3-, CD19-,CD20-,CRTH2-,CD11b-, CD115- CD16-, CD45+, CD34+をマーカーとして マルチカラーによるフローサイトメータで測定する方法を確立することができた。これにより、採血量が制限される年少児においても末梢血中繊維細胞を効率良く測定できるようになった。 気道リモデリングに関わる因子を解析するため、末梢血単核球分画から分離した付着細胞を培養し、誘導した繊維細胞を用い、マスト細胞の増殖に関与してTh2細胞が産生するIL-9の繊維細胞に対する影響を検討した。その結果、IL-9は濃度依存性に繊維細胞の増殖を増強することが明らかとなった。 小児の気管支喘息の発症増悪には下気道感染が重要な役割を持つ。そこで、ウイルス性気道感染時に産生されるIFN-betaやIFN-Lamdaが、気道リモデリングにどうのような影響を与えるかを検討した。その結果、IFN-betaやIFN-Lamdaは、濃度依存性に繊維細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。また、同じ濃度当たりの抑制効果はIFN-betaの方が顕著であった。
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