研究課題
小児急性骨髄性白血病に対する新規免疫療法の確立を目的としてメソセリンを標的とした細胞傷害性T細胞の有用性を検証した。現在国外で主流となっている遺伝子改変型T細胞を用いた免疫療法に比べると、やや煩雑な面がある一方で日本国内では実施しやすい手法であると考えられる。今後臨床応用に向けて有効性や安全性について更なる詳細な検証を継続する。1)急性骨髄性白血病におけるメソセリンの発現解析はじめに急性骨髄性白血病cell lineを複数株用いてメソセリンの発現をフローサイトメトリー法にて解析した。対象コントロールはリンパ性白血病の細胞株にて行った。急性骨髄性白血病ではメソセリンの発現が確認された細胞株がある一方でその発現が限定的なものあり評価は一定しなかった。一方、培養液上清や患者血清を用いて急性骨髄性白血病細胞におけるメソセリンの発現を予測しうる別の手法としてElisa法での測定をあわせて行い再現性の確認を行った。2)細胞傷害性T細胞の樹立細胞傷害性T細胞の樹立方法についての検証をすすめた。末梢血単核球からCD14 陽性細胞を磁気ビーズにて分離した後、IL-4 とGM-CSFの存在下で5日間かけ単球を樹状細胞を分化させ、さらにIL-6, TNFα, PGE2, IL-1βの存在下で十分成熟させリンパ球と反応させることが重要と考えられる。またペプチドは単一種ではなく複数種用いることが可能と考えられ更なる検証を行う。
3: やや遅れている
小児急性骨髄性白血病においてはメソセリンが発現していることが報告されているが、我々の検討では予想より限定的である可能性も示されており十分検証する必要が出てきたため、やや遅れていると判断した。
対象とする白血病細胞においてメソセリンの発現が低発現であった場合には複数のがん抗原を用いた細胞療法が有用と考えられた。現在、低発現例においてメソセリンの発現を誘導できうるか検討中であるとともに今後は実際の臨床サンプルにおいても検証を加える予定である。
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Transplant International
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