研究課題/領域番号 |
26860791
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
重村 倫成 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70623916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 接合菌 / 養子免疫療法 / 真菌 / 造血幹細胞移植 / 接合菌特異的PCR |
研究実績の概要 |
接合菌感染症は造血幹細胞移植や化学療法後の好中球減少においては重篤になる疾患である。そのため接合菌特異養子培養が必要と考えてプロジェクトを進めてきた。しかし感染症の既往や感作されてない血液からの接合菌養子培養は困難であることが予想された。そこで接合菌感染症の診断が重要と考えた。 Laurenceらが2013年3月に報告した血清中の接合菌DNAを検出する方法をもとに(Laurence M, et al. Clinical infectious disease, 2013)、接合菌症の代表的な菌種であるMucor/Rhizopus、 Lichtheimia、 Rhizomucorに対するTaqMan用primer, probeを用いてreal time PCRの系を作製した。微量の接合菌DNAを検出するための高精製度のDNA抽出法を行った。絶対定量系を確立するため陽性コントロールを用いたPCR産物をプラスミドへ組み込み、接合菌DNAプラスミドを作製、10E8から10E2までの希釈系から絶対定量コントロールとした。設定したprimer, probeは真菌DNAと希釈真菌DNAプラスミド(10E2)を検出すること確認し、系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験として行ったアスペルギルスを用いた真菌特異的T細胞の樹立から、接合菌感染症の既往や感作されてない血液からの接合菌養子培養は困難であることが予想された。そこで接合菌感染症の診断が重要と考え、診断する方法を構築した。多施設多数の検体の解析を行い、特異的診断法を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在Rhizomucor pusillus株ATCC46883と NBRC4578の二株から、それぞれ0.23mg protein/ml, 0.31 mg protein/mlの溶菌液を作製している。臨床検体から特異的診断法にてRhizomucorをさらに検出し、その患者血液を用いて養子培養を試みる予定である。溶菌液刺激で作製した樹状細胞にて患者T細胞を2回pulseし、T細胞増殖、抗原特異的T細胞の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験として行ったアスペルギルスを用いた真菌特異的T細胞の樹立から、感染症の既往や感作されてない血液からの接合菌養子培養は困難であることが予想された。そこで、無作為に接合菌養子培養を行うことを一旦中断し、特異的診断法を確立した。養子培養に必要なサイトカイン、培養液、抗体に必要な大幅な経費を削減することで差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
Rhizomucor pusillusの接合菌溶菌液を作製している。無作為に接合菌養子培養を行うのではなく、同菌種が検出された血液を用いて養子培養を試みる予定である。次年度使用額は消耗品、論文投稿費として使用する計画である。
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