研究実績の概要 |
接合菌感染症は造血幹細胞移植や化学療法後の好中球減少においては重篤になる疾患である。感染症の既往や感作されてない血液からの接合菌養子培養は困難であることから、まず接合菌感染症の診断が重要と考え、診断する技術を確立した。Laurenceらが2013年に報告した血清中の接合菌DNAを検出する方法をもとに、接合菌症の代表的な菌種であるMucor/Rhizopus、 Lichtheimia、 Rhizomucorに対するTaqMan用primer, probeを用いてreal time PCRの系を作製した。絶対定量系を確立するため陽性コントロールを用いたPCR産物をプラスミドへ組み込み、接合菌DNAプラスミドを作製し絶対定量コントロールとした。10施設、103検体の患者造血幹細胞移植後、白血病、免疫不全症患者で接合菌感染症が疑われた症例に対して、合計309回 解析を行い、6検体で接合菌DNAを検出した。 次に、接合菌に対する養子免疫療法の開発にあたり、代表的な糸状菌真菌であるアスペルギルスを用いた真菌特異的T細胞の樹立を試みた。末梢血単核球からアスペルギルス溶菌液(+/-)の成熟樹状細胞を作製し、培養T細胞に対して作成した樹状細胞を2度添加した。Elispot assayによる抗原特異的評価は困難であったが、樹状細胞の2度のパルスにより抗原刺激したT細胞増殖は優位であり、アスペルギルス特異的T細胞が増加したと考えられた。
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