研究課題
Filaminn A(FLNA)遺伝子はX染色体に存在し、多系統の組織に普遍的に発現する。アクチン細胞骨格構築の形成に関わり、その機能低下変異でperiventricular nodular heterotopia (PVNH)という難治性のてんかんと認知障害を特徴とする脳皮質形成異常、早期の弁置換を要する心臓弁膜症、難治性出血傾向を示す巨大血小板性血小板減少症、エーラース・ダンロス症候群、中心静脈栄養を要するChronic Intestinal Pseudo-obstruction syndrome (CIPS)など、多彩な慢性合併症を伴う。通常男性は胎生致死となり、出生した男性の多くは乳児期早期に死亡すると報告されていた。FLNAはエキソンの多さと広範囲欠失変異が多さから、遺伝子診断にほとんどなされてこらず、臨床像が十分把握されておらず、治療法も確立していない。本研究ではFLNA異常症の兄弟例で、特徴的なPVNHを発症せず、生直後に発症したCIPSが自然軽快した症例を解析し、その成果を報告した(Eur J Hum Genet, Epub ahead of print)。FLNA遺伝子に通常致死的な変異を同定し、変異エキソンがスプライシングスキップされることによりほぼ正常相当のFLNA蛋白が発現していた。この知見からFLNA異常症は臨床像の幅が広く、エキソンスキップがその臨床像の多彩さに影響している可能性を示した。さらに血小板解析がFLNA異常症のスクリーニングに有効となりうることを示した。他施設においてFLNA遺伝子異常を確認できなかった患者において血小板のFLNA蛋白の発現低下を確認し、詳細な解析において機能欠損変異を見いだした。今後全国調査やFLNA変異ノックインマウスの解析を通じ、FLNA異常症の病態解明、エキソンスキップを利用した治療法開発につなげていく。
すべて 2016
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Eur J Hum Genet.
巻: 24 ページ: 408-14
10.1038/ejhg.2015.119.