研究課題
本研究では、小児がん死亡の約15%を占める神経芽腫の新規治療標的分子の探索と、治療抵抗性を持つために再発の原因となる、自己複製能と多分化能を持つ神経芽腫がん幹細胞の発生・分化機構の解明を目的とした。申請者らは細胞内小胞輸送の活性制御機構に注目をし、細胞内小胞輸送の重要な制御系であるDENNドメイン蛋白質(DENN/RabGEFs)が神経芽腫がん幹細胞の発生・分化において果たす薬和胃の解明を試みている。前年度はDENNドメイン蛋白質のメンバーであるDENND2Aの発現量が、神経芽腫のがん幹細胞が豊富に含まれるとされるスフェアにおいて大きく変化していることをもとに、DENND2Aの過剰発現及び発現抑制を行った神経芽腫細胞において、コロニー形成能、免疫不全マウスにおける腫瘍形成能の解析を行った。その結果、DENND2Aの過剰発現細胞においてはコロニー形成能、免疫不全マウスにおける腫瘍形成能とも低下することを明らかにした。また、DENND2Aの発現抑制細胞を用いた同様の実験において、コロニー形成能、免疫不全マウスにおける腫瘍形成能が亢進することを明らかにした。今年度はこれまでにDENND2Aが活性化すると報告されているRab9Bについて、スフェアでの発現を神経芽腫細胞と比較し、Rab9Bの過剰発現及び発現抑制細胞において、コロニー形成能、免疫不全マウスにおける腫瘍形成能を検討した。その結果、Rab9Bにおいても、過剰発現細胞においてコロニー形成能、腫瘍形成能ともに低下し、発現抑制細胞においてはコロニー形成能、腫瘍形成能ともに亢進することを明らかにした。今後はDENND2AとRab9Bの結合を免疫沈降法により確認するとともに、DENND2Aに結合する他のRabの有無を検索する。その後、同定されたRabを用いて、DENND2Aの上流/下流シグナルを同定する。
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