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2014 年度 実施状況報告書

先天性血小板減少症の責任遺伝子同定と病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 26860805
研究機関広島大学

研究代表者

小林 良行  広島大学, 大学病院, 医科診療医 (20723290)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード先天性血小板減少症 / インテグリンシグナル / 恒常的活性化状態
研究実績の概要

先天性血小板減少症は、正しい診断がなされていない症例も多いと考えられており、迅速かつ正確な診断につなげる目的で疾患の理解及び啓蒙が重要となる。実際にこれまでに当科で同定した症例に関して、2014年度の日本小児科学会学術集会において発表を行った。さらに慢性的な血小板減少症を来している症例に関して既報の責任遺伝子探索に加えて新規責任遺伝子の同定を試みた。検討症例には家系例はなく全て個発例であったが責任遺伝子同定可能であった症例はなかった。
また、ITGB3遺伝子変異がインテグリンシグナルの伝達に及ぼす影響を解析する目的で細胞内の活性型低分子量Gタンパク質であるRhoAのプルダウン法を用いた解析を試みたが、回収できる試料が少なく解析が進展しなかった。そのため、ELISA法を用いて解析を行う方針とした。Fibrinogen固相プレート上でCHO-K1細胞に対してITGB3遺伝子の野生型と変異体を遺伝子導入し、lysate回収後に濃度を調節し、マイクロプレートリーダーで解析を行った。シグナルの恒常的活性化状態を示すと予測された変異体(T562N、L718P)を導入したケースでは比較的高い吸光度を示したが、現時点では一貫したデータに乏しい。また、さらにインテグリンのアウトサイドインシグナルに関連した反応であるインテグリンβ3のC末端のRGT配列とC-Srcの結合状態を検討するため、抗Src抗体及び抗リン酸化Src抗体を用いて免疫沈降/ウエスタンブロット法を用いた解析を行った。変異体でのSrcの恒常的リン酸化状態が予想されたが、現時点では一貫した結果のデータを得られておらず、さらなる検討を要する。これらの機序の解明が進めば、本疾患群の分子基盤、病態解明に関連し治療法などの疾患管理へつながる可能性があり意義深いものと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

先天性血小板減少症は、比較的頻度の高い疾患群であることが指摘されている。しかし実際の診療現場では、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)や新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)などの疾患に遭遇する事の方が多く、該当症例が当初の予想よりも集積できていないため、責任遺伝子の探索が進行していない。また、機能解析としてインテグリンの下流のシグナルに関する解析を中心に施行しているが、実験系における条件の設定などの検討が不十分であるため、解析の進行に遅滞を来している。

今後の研究の推進方策

今後も先天性血小板減少症に関する責任遺伝子の同定、及び機能解析を進めていく。具体的には新規及び既報の責任遺伝子変異の同定には症例の集積、特に家系例に関しての解析が不可欠であることを再度強く認識しており、症例の集積に努める必要があると考えている。また稀少症例ではあるが神経細胞の機能障害を来す疾患群(Filamin Aの先天性欠損による血小板減少、脳室周囲異所性灰白質)もあり、このような他症状を来す疾患群が手掛かりになる可能性も考慮する。また、機能解析に関してインテグリンの下流のシグナルは複雑にクロストークしており、シグナルの活性化状態と血小板減少、形態異常を結びつける分子メカニズムの解明のためには、正確な定量化を可能にする条件の設定などの実験系の確立とさらに詳細な検討が必要であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

当初の予想より、症例の集積が少ないため解析サンプルが少ない。また、成果発表や学会参加に使用する予定であった旅費も少なかった。

次年度使用額の使用計画

解析サンプルを増やして、解析を進める。また成果発表や学会参加を予定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] インテグリンβ3(GPIIIa) 遺伝子変異を同定できた先天性血小板減少症の2家系2014

    • 著者名/発表者名
      小林良行
    • 学会等名
      第117回日本小児科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2014-04-11 – 2014-04-13

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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