高親和性IgE抗体産生細胞の発生機序の解明に関して2つの研究を遂行した。1.生後、低親和性特異的IgEが産生されるか研究を行った。結果、生後14ヶ月の検体において低親和性Ovomucoid (OVM)特異的IgEが産生されていることが明らかになった。また低親和性OVM特異的IgEはアレルギーとの関係は見られなかったが、高親和性OVM特異的IgEに変化することで特に喘息との関係が明確になった。低親和性IgEとアレルギーの関係について、さらに研究を進めていく必要がある。2.低親和性IgEが高親和異性IgEに変化するメカニズム解析を行う目的で、アレルギーモデルマウスの作製を行った。実際は人由来の臍帯血を用いる予定であったが、入手が困難であること、臍帯血が採取できたとしても特異的IgEを産生している検体が少ないことなどの理由より現段階では困難であった。そこで皮膚感作アレルギーモデルマウスを作成し、そのマウスから生まれた新生児マウスから血液を採取することで低和性特異的IgE産生細胞を一定に採取し維持できる方法を確立するため研究を遂行した。アレルギーモデルマウス作製の判定に関しては、低微量高感度ELISA法を確立し、特異的IgE、総IgE、特異的IgG、総IgGを測定することで行った。抗原の感作に関しては、OVMを用い1日に2回背中に感作させた。一週間後、マウスの皮膚が赤くなり、2週間後には感作直後、マウスが背中を引っ掻き始めた。そこで眼底採血を行い、微量の血液を用いて特異的IgE、総IgE、特異的IgG、総IgGを測定した。OVM感作後、特異的IgE、総IgE、特異的IgG、総IgGが非常に強く上昇していた。結果、皮膚感作アレルギーモデルマウスが完成した。今後このマウスを用いて交配させ、生まれた新生児マウスから低親和性特異的IgE産生細胞を精製し、低親和性IgEが高親和異性IgEに変化するメカニズムの解析を行う予定である。
|