研究課題/領域番号 |
26860813
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
入江 理恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90381178)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 脳神経疾患 / 細胞・組織 / 生理活性物質 / 解剖学 / 超微形態学 |
研究実績の概要 |
我々が維持しているRett症候群(RTT)の原因遺伝子であるMeCP2のノックアウトマウスで、神経系以外の某器官で光学顕微鏡レベルでの形態異常が見出された。我々は、この器官について種々の抗体を用いて免疫染色を実施し、また、マウス生体由来のこの器官の形成を誘導する生理活性物質の定量をELISAにより定量し、MeCP2遺伝子ノックアウトマウスにおける野生型マウスと異なる生理的な異常および産生細胞の超微形態的異常も見出した。さらにその生理活性物質が標的とする器官での受容体の発現レベルも変化していることを明らかにした。 平成27年度は、次段階として、表現型に超微形態異常が見られた器官の培養細胞でこの現象を再現するために、RNAi法によるMeCP2遺伝子のノックダウンを試み、成功した。このMeCP2ノックダウン細胞をセルソーターで濃縮し、得られたラインについて生理活性物質の生合成経路に関係する酵素や調節因子等の発現をWestern blottingや定量PCRで解析比較した。 神経組織ではない器官の光学顕微鏡レベルでの異常の新規発見、MeCP2遺伝子とこの生理活性物質の産生の関係が大いに示唆されることから、RTT病態やMeCP2の分子機構の解析には、非神経器官の解析も有用であると判断され、RTTの脳以外での組織学的、超微形態的な研究報告が全くないことからも独創性も研究価値も高いと確信している。最終年度はこの内容をまとめ、論文投稿および国内学会発表にて研究成果を報告したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画である培養細胞でのMeCP2遺伝子のノックダウンと、細胞特異的な生理活性物質産生の異常を再現することができた。さらにこの産生物質の生合成経路に関与する酵素群を定量PCRやWestern blottingで解析し、分子生物学的評価においても有意に発現変化した遺伝子候補を絞り込むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の計画として、さらに複数の酵素群や中間物質の定量的な評価を行う予定である。また、MeCP2遺伝子をノックダウンした細胞に、外因的にMeCP2遺伝子を再導入した場合に、この生理活性物質の産生がレスキューされるか確認する予定である。本年度中の国際雑誌へ論文投稿、国内学会での成果発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
外因的なMeCP2遺伝子の導入による生理活性物質産生のレスキューを確認するという、MeCP2遺伝子とこの生理活性物質の関連を決定づけるという新たな実験を加えるために、さらに継続した細胞培養を用いた研究を実施しなければならないため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現在使用しているライン化した細胞を使用するため、新規の細胞購入はないが、培地や血清、ピペットやシャーレなどの購入に充てることを計画している。遺伝子導入のための導入試薬や、定量PCRに使用する試薬等の購入も計画している。
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