研究課題
平成27年度においても、乳児期発症のてんかん性脳症を伴う症例に対し、Exome解析によるアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子の病的変異の網羅的スクリーニングを引き続き行った。平成26年度では、3種のアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異の中で、まずQARS遺伝子変異単独で研究をまとめて論文報告を行っていた(Kodera et al., J Hum Genet 2014)。そのため、平成27年度では、我々が同定した他の2種のアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異について機能解析を進めるのと同時に、QARS、および他のアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異のスクリーニングも並行して実施した。我々が同定した2種のアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異については、変異が病的であるか評価を行うため、同定された変異をもとにした組換えタンパク質を作成し神経細胞内発現解析を行った。Neuro2A細胞内において変異体を一過性に発現させたところ、QARSのミスセンス変異と同様に、明らかな局在の異常は認めなかった。そのため、これらの変異体もQARSと同様に生化学的な活性に異常をきたしている可能性があると考えられた。放射性同位体14Cで標識したアミノ酸を用いたアミノアシル化活性測定を行うことを目標とし、同定された変異をもとにした動物細胞発現用ベクターの作成を続けている。また、現在までに病的変異の網羅的スクリーニングを続けてきたが、新規のアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異の同定には至っていない。このことからも、アミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異が原因となる乳児期発症のてんかん性脳症は非常にレアな症例だと予想される。本研究の症例解析により、アミノアシルtRNA合成酵素遺伝子変異がもたらす病態解明に努める。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件)
Epilepsia
巻: 57 ページ: 566-573
10.1111/epi.13344.
J Hum Genet.
巻: 60 ページ: 97-101
10.1038/jhg.2014.103.
巻: 56(6) ページ: 841-8
10.1111/epi.12987
巻: 56(9) ページ: e121-8.
10.1111/epi.13072