先天性ピリミジン代謝異常症の臨床像は多様であり、5FU関連抗癌剤投与で副作用を呈することが知られているが、未だ報告数は少なく疾患頻度や遺伝子変異等の詳細は不明である。本研究では、UPLC-MS/MSを用いた尿中ピリミジン代謝物網羅的定量法を確立し、遺伝子検査によるピリミジン代謝異常症の診断システムを構築した。遺伝子解析の結果、β-ウレイドプロピオナーゼ欠損症では全例でUPB1遺伝子R326Q変異を有しており、うち70%の症例は同変異のホモ接合であった。健常人の検討では日本人におけるR326Qの保因者率は2%であり推定される本疾患頻度は少なくないと考えられた。
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