研究課題
本研究では、極早産児における社会的認知機能を視線計測を用いて経時的に評価し、その特性や発達的変化を明らかにし効果的な支援方法を検討することを目的としている。初年度は、予備調査として当該期間に当院を受診した極早産児(修正1歳半~9歳)46名を対象に視線計測および認知機能検査、行動情緒評価を行い定型発達児および自閉症スペクトラム障害を有する児との比較を行った。また刺激および定型発達群および自閉症スペクトラム障害群のデータは先行研究の結果を利用した。1)多次元尺度法による解析では、極早産児は群内差が大きく、定型発達児と自閉症スペクトラム障害を有する児の両群に重なり広く分布した。2)1)における中央値からの距離を利用したクラスター解析により、極早産児は、社会的シーンの見方によって二群に判別することができた(VPhighriskとVPlowrisk)。VPhighriskは、VPlowriskおよび定型発達群と有意差がみられた。3)全編を通した顔への注視率も定型発達群・VPlowriskと自閉症スペクトラム障害群・VPhighrisk群との間に有意差を認めた。以上より、極早産児の社会的シーンの見方は一様ではなく、本解析方法により、定型発達群に近い見方を呈するVPlowrisk群と自閉症スペクトラム障害群に近い見方を呈するVPhigrisk群の2群にわかれることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
初年度は、当該期間に外来を受診した極早産児の初回計測を行い、概ね予定通りの被験者を対象に、予備調査を行うことができた。
次年度以降は、以下を課題とする。1)同一被験者における経時的測定を行い、発達的変化を検討する。2)測定結果と認知機能や他の行動情緒評価との関連を検討する。3)測定結果と周産期因子との関連を検討する。
発達検査器具や視線計測の機械は以前より使用していたものが、使用可能であったため予算を繰り越すこととなった。しかし、検査器具や機械(ハードディスク)は消耗品であり、次年度以降も機器の状況によっては買い替えが必要となる。
実験に用いるハードディスクの買い替え(消耗に伴う劣化のため)や、解析ソフトの保守更新、発達検査用具の購入などに用いる予定である。
すべて 2015 2014
すべて 学会発表 (3件)