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2015 年度 実施状況報告書

視線計測を用いた極早産児における社会的認知機能の発達的変化に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 26860824
研究機関順天堂大学

研究代表者

細澤 麻里子  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70646207)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード早産児 / 自閉症スペクトラム / 社会的認知機能 / 視線計測
研究実績の概要

昨年度の研究結果から、極早産児(VP;在胎32週未満、出生体重1500g未満)の社会的なシーンの視方は一様ではなく、定型発達(TD)群に近い群(VPlow群)と自閉症スペクトラム(ASD)群に近い群(VPhigh群)に大別されることが明らかとなった。今年度は、フレームごとの注視点の解析を行い、相違点を検討した。その結果、1)全編を通した登場人物の顔への注視率が、VPhigh群はASD群同様にVPlowとTD群比較して有意に低い。2)開始当初はVPhigh群も中心人物の顔を選択的に注視するが、注意の持続ができず1秒後以降でTD群とVPlow群より有意に注視率が低下した。以上より、極早産児の中で、登場人物の顔をみる率が低くASD群に近い社会的認知を呈する一群がいたが、その背景に注意喚起の障害も影響している可能性が示唆された。
さらに今年度は、年齢ごとの変化を検討するために対象年齢を1-2歳までの第1群(含VP群21名)と3-4歳までの第2群(含VP群19名)に分けて同様の解析を行った。本解析においては対象となるVP群の人数が少数であったためクラスター解析は施行していない。定型的な視方からのかい離を表すMDS距離は、第1群、第2群ともにASD群で他群と比較して有意に高値であった。顔への注視率は、両群においてASD、VP、TDの順に高くなった。また顔の中の目を見る率は両群においてVP群で最も低く、反対に顔の中の口を視る率は両群でVP群が最も高い結果となった。本検討では、いずれの年齢においてもASD群は他群と比較して異なる視方を呈し、VP群もTD群と相同の視方ではないこと、またVP群は顔の中で目ではなく口をみる率が高く、特に年齢が低い群においてその傾向が高いことが明らかとなった。以上の検討の結果は、極早産児における社会的認知機能や社会性の問題の背景を考える上で有用な所見であり、今後これらの結果と他の行動情緒尺度を合わせて検討を重ねていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の予備解析の結果を受け、今年度はkey age(修正18か月、暦36か月)における評価を行った。しかし、対象となる当院外来でフォローする極早産児の人数が予定よりも少なかったため、対象者が少ない結果となっている。

今後の研究の推進方策

予備的調査の結果では、極早産児を社会的なシーンの視方で社会性の問題のハイリスク群とローリスク群とに分けることができる可能性が示唆された。今後視線計測の結果と他の行動情緒尺度を組み合わせて検討をしていく。
また、極早産児における社会的認知機能の年齢的な変化を検討するために同一人物における経時的評価を追加していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

検査用具などの消耗品の消費が予定よりも少なかったため繰越金が発生した。

次年度使用額の使用計画

検査用品の購入のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Relationship between changes of physique until 18 months of corrected age and autistic spectrum disorder in preterm infants.   2015

    • 著者名/発表者名
      Ikejiri K, Hosozawa M, Tanaka K, ShimizuT.
    • 学会等名
      Asia Pacigic Regional Infar 2015, Shanghai, China.
    • 発表場所
      shanghai
    • 年月日
      2015-11-08
    • 国際学会
  • [学会発表] Atypical social perception in high-risk very preterm children.2015

    • 著者名/発表者名
      Hosozawa M, Nakamura A, Hirai E, Hatta K, Koike Y, Ikejiri K, Kato K, Mitomo S, Oikawa N, Iwasaki T, Yoshikawa N, Tanaka K, Shimizu T.
    • 学会等名
      The 11th Congress of the Asian Society for Pediatric Research & the 118th Annual Meeting of the Japan Pediatric Society, Osaka, Japan.
    • 発表場所
      Osaka
    • 年月日
      2015-04-16
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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