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2016 年度 実施状況報告書

視線計測を用いた極早産児における社会的認知機能の発達的変化に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 26860824
研究機関順天堂大学

研究代表者

細澤 麻里子  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70646207)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード社会的認知機能 / 早産児 / 実行機能 / 視線計測 / 心の理論
研究実績の概要

本研究では、極早産児の社会的認知機能の発達的変化を評価することを目的とし、極早産児(在胎32週以下、出生体重1500g以下)47名を対象とし、視線計測を用いて社会的なシーンの視方を自閉スペクトラム症群(ASD群)と定型発達群(TD群)各25名とで比較した。昨年までの研究の結果、極早産児の中で登場人物の顔をみる率が低くASD群に近い社会的認知を呈する一群がおり、また注意喚起の障害が極早産児の視方に影響を及ぼしている可能性が示唆された(Sekigawa-Hosozawa,Brain Dev.,2017)。
今年度は、極早産児の社会的認知機能と注意喚起障害を含む実行機能との関連を検討することを目的とし、知的障害を伴わない極早産児32名(平均在胎週数28週、平均出生体重1000g、平均検査時月齢89カ月)における1)心の理論検査通過率のASD群・TD群との比較、2)極早産児群における心の理論検査通過率と全般的認知機能及び日本版DN-CAS認知評価システム(DN-CAS)との相関を検討した。その結果、極早産児における心の理論検査の通過率は、年齢をマッチさせた知的障害を伴わないASD群と有意差がなく、先行文献(藤野.東京学芸大学紀要.2013)の同年代定型発達群よりも低い結果となった。さらに、極早産児においては、心の理論通過率は全般的認知発達指数、年齢、及びDN-CASの「全体指数」と「単語の記憶」との相関を認めた。以上より、知的障害を有さない極早産児においても心の理論の獲得に遅れを認め、極早産児における社会性の問題の認知的背景をとなっている可能性が示唆された。さらに、極早産児における社会的認知機能の問題には、全般的認知発達やワーキングメモリーが関連している可能性が考えらえた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

視線計測の結果から得られた知見をもとに、既存の他の検査バッテリー(心の理論課題)を用いて極早産児における社会的認知機能と実行機能との関連について検討し、課題を発展させた。

今後の研究の推進方策

今後は、視線計測を用いて極早産児における社会的認知機能の経年齢的変化について検討を加えるとともに、実行機能と社会的認知機能との関連について症例数を増やし、更なる検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

消耗品(知能検査道具)の購入が予定よりも少なかったため。

次年度使用額の使用計画

追加検査分の消耗品(質問紙や知能検査道具)の購入、研究成果の発表を行うための学会参加費用、論文出版費用

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] A group of very preterm children characterized by atypical gaze patterns2017

    • 著者名/発表者名
      Sekigawa-Hosozawa Mariko、Tanaka Kyoko、Shimizu Toshiaki、Nakano Tamami、Kitazawa Shigeru
    • 雑誌名

      Brain and Development

      巻: 39 ページ: 218~224

    • DOI

      doi:10.1016/j.braindev.2016.10.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduced growth during early infancy in very low birth weight children with autism spectrum disorder2016

    • 著者名/発表者名
      Ikejiri K, Hosozawa M, Mitomo S, Tanaka K, Shimizu T
    • 雑誌名

      Early Human Development

      巻: 98 ページ: 23-27

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.earlhumdev.2016.05.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 極低出生体重児における心の理論課題の通過率の検討2016

    • 著者名/発表者名
      細澤 麻里子, 中村 明雄, 平井 恵奈, 小池 良子, 八田 京子, 加藤 久美子, 池尻 佳奈, 三友 聡美, 及川 奈央, 岩崎 友弘, 吉川 尚美, 久田 研, 東海林 宏道, 田中 恭子, 清水 俊明
    • 学会等名
      第61回日本新生児成育医学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-12-03
  • [学会発表] 早産児における学童期の行動・情緒発達特性について.2016

    • 著者名/発表者名
      吉川尚美,三友聡美,及川奈央,細澤麻里子,東海林宏道,清水俊明,岩崎友弘,大川夏紀,寒竹正人,田中恭子.
    • 学会等名
      第52回日本周産期・新生児医学会学術集会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2016-07-16
  • [学会発表] 学齢期以降も支援が必要な極低出生体重児の特徴についての検討.2016

    • 著者名/発表者名
      中村明雄,八田京子,平井恵奈,小池良子,池尻佳奈,加藤久美子,三友聡美,及川奈央,細澤麻里子,岩崎友弘,吉川尚美,田中恭子,清水俊明
    • 学会等名
      第58回日本小児神経学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-06-03

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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