研究課題
低出生体重児は生下時のネフロン数が少ないため、出生後にネフロンに対する過剰濾過が生じ糸球体障害や慢性腎臓病を増悪させることは一般的な概念となっている。ネフロン数は胎生期の発育環境に大きく影響され、出生体重により最大で10倍近くのネフロン数の相違があることが知られている。しかしヒトにおいて新生児期に集中治療を受けた低出生体重児が全例で成長後に腎機能障害を生じるわけではなく、後天的な要因の関与も示唆される。そこで研究者らは早産児・低出生体重児におけるイヌリンクリアランスを用いた標準的腎機能指標の策定を最終目標に研究を展開し、まず動物モデルを用いて子宮内発育不全低出生体重ラットでは成長後に腎障害を生じることを尿マーカーを用いることで確認した(Murano Y, Nishizaki N, et al. Evaluation of kidney dysfunction and angiotensinogen as an early novel biomarker of intrauterine growth restricted offspring rats.Pediatr Res. 2015)。次に後天的要因の検索のために高濃度投与による網膜症ラットモデルを確立し腎組織や酸化ストレスマーカーの検討から網膜症を生じるほどの高濃度酸素に暴露されたラットでは未熟児網膜症のみならず同時に腎に対する悪影響があることを突き止めた(Nakagawa M, Nishziaki N et al. Impaired nephrogenesis in neonatal rats with oxygen-induced retinopathy.Pediatr Int. 2017)。しかしヒト未熟児でイヌリンクリアランスを用いた標準的腎機能指標の策定は具体的に達成できなかったため今後の課題とする。
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Pediatrics International
巻: Feb 16 ページ: n-a
doi: 10.1111/ped.13264.