研究課題/領域番号 |
26860827
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
平野 大志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90424663)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 先天性心疾患 / 急性腎傷害 |
研究実績の概要 |
我々は、先天性心疾患 (CHD:Congenital Heart Disease) 術後の急性腎傷害 (AKI:Acute Kidney Disease) の発症を予防し、CKD(Chronic Kidney Disease)への移行を回避するために、自施設で2007年4月から2013年8月の6年間に心臓出術を施行されたCHD患者418例について解析を行った。H26年度はAKIの発症率(24.9%)およびそのリスク因子(手術時低年齢、RACHS-1がgrade4以上の難手術、人工心肺に長時間使用)を同定した。H27年度はさらに418例のうち、術後にAKIを発症した104例(男児68例、女児34例)を前方視的に2年間追跡した。104例を死亡群、生存群に分けて死亡率に寄与する因子を同定した。その結果、104例中、23例(22%)が2年間の間に死亡しており、術後から死亡までの平均期間は170日間であった。死亡率は明らかに非AKI群に比して高率であり、術後のAKIがその後の死亡率に寄与していることが判明した。また、術後AKI合併群をさらに死亡群、生存群に分けて死亡の独立危険因子の同定を試みたが、性別、年齢、基礎疾患の有無、Risk Adjusted Classification of Congenital Heart Surgery score(RSCHS-1)、人工心肺の使用率、術中の阻血時間の存在の有無、いずれにも有意差は認められなかった。これらの研究成果を、H28年5月の日本小児科学会学術集会で口演発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初のAKIの発症率およびその危険因子同定に関する調査、解析は順調に終了した。しかし、その発展研究として、2年間の追跡予後調査を行っているため、やや予定より進行が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度中に調査、解析がすべて終了予定であり、終了後論文発表を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、今年度は新たな調査、解析を行ったが、学会発表が次年度になったために、学会出張費が必要なかったことがあげられる。また、英語論文が完成していないため、英文校閲、校正、別刷などの費用が掛からなかったことも理由として挙げられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度はサブ解析、論文発表のためにデータクリーニングをしっかり行うため、研究補助員を雇用する予定である。さらに複数の国内、国外学会で発表するため旅費が発生すること、英語論文投稿のための使用を考えている。
|