研究課題
前年度までに、申請者は、Rett症候群(RTT)の心臓病態のメカニズムを明らかにするために、RTTモデル(MeCP2欠損)マウス、ES細胞を利用して心機能など心臓そのものに着目して研究を行ってきた。その結果、RTTモデルマウスは、不整脈など機能的な異常は認められないが、コントロールの野生型(WT)マウスに比較して、心電図のパラメータの違いが認められることが明らかとなった。また、RTTモデルES細胞により心臓発生過程におけるMeCP2の役割を調べたところ、心筋前駆細胞の発生やその後の心筋分化能に影響することを示してきた。本年度は、RTTモデルマウスの心臓を詳細に解析するとともに、心臓におけるMeCP2のターゲット分子の同定を試みた。RTTモデルマウスの心臓は大きさが個体に比例して小さいものの解剖学的に構造的な異常は認められなかった。一方、電子顕微鏡による解析の結果、RTTモデルマウス心臓は、介在板構造が未熟であり、また間接蛍光抗体法におけるCx43の介在板への局在が十分でないことが明らかとなった。また、RTT心臓における遺伝子発現を調べた結果、イオンチャネルなど心臓特異的な遺伝子の発現に異常が認められた。また、発現変化する遺伝子のCpGメチル化を解析した結果、Tbx5遺伝子は高度にメチル化されており、クロマチン免疫沈降法によりMeCP2がTbx5遺伝子のメチル化領域に結合する可能性が示された。以上の結果から、MeCP2は、心臓そのものの遺伝子発現を制御し、構造や機能に関わることことが明らかとなった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件)
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