2015年厚生労働省小児・若年がん長期生存者研究班の報告では、本邦の小児がんの5年生存率は平均80%を超え、小児がん経験のある成人の割合は700人に1人となる時代を迎えたが、一方で長期生存者に晩期障害の問題を引き起こしている。 これまで晩期障害に関して、小児がん経験者に永久歯形成障害の起こる危険性が治療開始年齢の低下とともに高まり4歳未満で顕著であること、造血幹細胞移植付帯超大量化学療法は通常化学療法より危険が大きく、放射線全身照射の加療でも有意差がないほど発生率が高いことを明らかにした。 そこで本研究は、小児がんに対する抗がん剤治療経験者の永久歯形成障害について、歯冠形成障害の顎骨内対称性と動脈分布の関係を明らかにすることを目的として行われた。
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