研究課題/領域番号 |
26860840
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
北村 勝誠 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (40724381)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 先天性血小板減少症 / 巨大血小板 / 転写因子 / 巨核球分化 / 赤芽球分化 |
研究実績の概要 |
既知の変異を認めない原因不明の先天性巨大血小板症の親子例について、次世代シークエンサーを用いた全エクソン解析を行い、赤芽球系及び巨核球系に特異的な転写因子GFI1Bに新規遺伝子変異を同定した。近年、GFI1B変異に伴って貧血および巨大血小板性血小板減少を呈した一家系が報告され、次いで原因不明とされていた常染色体優性遺伝型のGray Platelet症候群の原因遺伝子として報告されている。 初年度である26年度に、ルシフェラーゼアッセイによってGFI1B変異が実際に遺伝子発現制御機能に影響を及ぼすかを検討した。その結果、野生型はempty vectorと比較しルシフェラーゼ活性を約60%に抑制したが、変異型では抑制はみられなかった。次いで一定量の野生型に対して、変異型の割合を増加してco-transfectすると、変異型は量依存的に野生型の抑制作用を阻害したことから、dominant-negativeに作用していることが示唆された。これをさらに解析するため27年度はゲルシフトアッセイを行った。野生型GFI1BタンパクはGFI1Bのコンセンサス配列を含むオリゴと結合を示したが、変異型は結合を示さなかった。 また、26年度より継続して、培養巨核球に変異型GFI1bを発現させ、巨核球の分化・成熟、血小板の形態や数への影響を検討した。レトロウィルスを用いて妊娠13.5日マウスの胎児肝細胞へ変異型及び野生型GFI1Bを感染させ、トロンボポエチン存在下に数日間培養し、経時的に巨核球が数珠状の胞体突起を形成しながら血小板を産生する様子を観察した。その結果、変異型は野生型と比較し、一つの巨核球から形成される胞体突起の数が少なく、また胞体突起径が大きいことが確認された。このことはGFI1B変異により巨大血小板および血小板減少症を呈する臨床像と矛盾しないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲルシフトアッセイにより、変異型GFI1BのDNA結合能の解析を行った。 培養巨核球にレトロウィルスを用いて変異型及び野生型GFI1Bを発現させ、トロンボポエチン存在下に培養し巨核球へ分化させ、胞体突起形成への影響を解析した。
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今後の研究の推進方策 |
GFI1Bによる先天性巨大血小板症の診断スクリーニング法を検討する。これまでの研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗度によって必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に変更はなく、今回生じた次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合わせて、当初予定通りの計画を進めていく。
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