研究課題/領域番号 |
26860844
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60711083)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / Muse細胞 / 新生児低酸素性虚血性脳症 |
研究実績の概要 |
Muse細胞を使用した新規治療法開発のため、動物実験にてMuse細胞の投与法を確立した。Rice-VannucciモデルのWistarラットを使用し、受傷72時間後にMuse細胞を外頚静脈から投与した。蛍光色素DiRでラベルしたMuse細胞を投与後7日間、IVIS Imaging Systemで追跡しMuse細胞の体内動態を確認したが、脳・肺・肝臓・腎臓・脾臓などの諸臓器に特異的な集積は見られなかった。また生後20日目に作成した脳切片では、Muse細胞の脳への移行が確認できた。 次にHIEモデルに対するMuse細胞移植の効果確認を行った。HIEモデル作製後、2次元画像レーザー血流計を用いて脳血流減少の程度を確認し、モデル個体間の差が最小限となるようにvehicle投与群とMuse細胞投与群に群分けを行った。治療効果判定のために、行動学的評価を静注後1ヶ月(亜急性期)と5ヶ月(慢性期)に行った。その結果、vehicle投与群と比較してMuse細胞投与群では、亜急性期・慢性期ともに回転棒試験において運動能力の改善を、能動回避学習試験(shuttle avoidance test)で学習障害の改善を認めた。またオープンフィールドテストでは慢性期において情動行動(多動性など)改善が期待できる可能性が示唆された。 さらに長期的に飼育を8ヶ月間行い、Muse細胞投与によって生存期間が短縮しないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Muse細胞投与方法の確立に加え、周産期HIEモデルラットに対するMuse細胞移植の効果確認について、おおむね達成することができた。Muse細胞の体内動態確認における、脳内の生着・分布については今後着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Muse細胞投与による行動学的な改善が確認できたため、今後はMuse細胞を投与した周産期HIEモデルの脳切片を作製し、生化学的・免疫組織学的評価を行う予定である。さらに梗塞体積の評価や部位別(皮質、線状体、海馬、視床)にneuropathological scoreを用いた評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験は比較的順調に進んだが、Muse細胞投与後の行動学的評価等を優先した。その結果、生化学的・免疫組織学的な評価が遅れており、必要な抗体等購入ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に行うことができなかった生化学的・免疫組織学的評価を行うために必要な物品の購入に使用する。
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