本研究の目的は、低酸素性虚血性脳症(HIE)の低体温療法(HT)に追加する新規治療法の開発である。HTの治療不応例の選別方法を確立するため、新生仔豚仮死モデルを用いて、低酸素虚血負荷後のHT中の脳波抑制時間、脳血液量 (CBV)と、病理学的組織障害の関係を調べた。その結果、平温療法群では脳波抑制時間が長いものは脳血液量増加が大きかったのに対し、HT群では脳波抑制時間が長いものは脳血液量低下が大きかった。生後早期の脳波とCBVの評価により、HT治療中においてもHT治療不応例を選別することが可能で、そのような症例に対し新規治療法を適応することで、HIEの予後改善に大いに寄与できると考えられた。
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