研究実績の概要 |
本研究では、未だ明らか にされていない慢性肺疾患の発症や重症化のメカニズムについて、マイクロ RNA(以下 miRNA)に重点 をおき、本疾患罹患児の血液検体と本疾患モデルマウス肺を用いて、発症や重症化に関わる標的 miRNA と標的メッセンジャーRNA(以下mRNA)を同定する。さらに、標的miRNAの促進剤(mimic), 阻害(inhibitor)をマウスに投与し、その効果を分子生物学的、呼吸生理学的、病理組織学的に検討することを目的としている。 平成28年度は、32週未満で出生した児の臍帯血血清と日齢28の血清からエクソソームを抽出し、エクソソームであることをNanoparticle Tracking Analysis(NTA)とウェスタンブロットで確認した上で、エクソソーム中のmiRNAのプロファイリングを行った。この結果、すべての検体で発現しているmiRNAは45個あり、その中で、慢性肺疾患罹患群では、日齢28にエクソソーム中のmiR-21が有意に上昇するのに対し、コントロール群では、日齢28のmiR-21の発現量が変化しないことが判明した。平成27年度の実験結果では、慢性肺疾患モデルマウス肺においてmiR-21の発現量の上昇がみられたことから、miR-21が慢性肺疾患モデルマウス肺ならびに慢性肺疾患児において共通して変化する標的miRNAとして同定した。さらに、miR-21 inhibitorを新生仔マウスに皮下投与し、慢性肺疾患モデルマウスを作製し、その効果を検証中である。
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