研究課題
本研究においては中~低リスク新生児における学齢期以降の高次脳機能障害の原因を多角的な脳機能観察ツールによって突き止めるとともに、介入可能な標的を明らかにすることを目的としている。研究初年度には、本研究の前提として、新生児集中治療室に入院した児において各種パラメータの情報を経時的にどの程度収集できるのかを検討した。パラメータは直接的に脳機能を評価するMRIや近赤外光スペクトロスコピーだけでなく、間接的な脳機能の評価として自律神経系、内分泌学的な評価項目(生化学的検査、呼吸心拍情報、胎動情報など)も含んでいる。その結果、各種ツールは当初の予想通りベッドサイドで非侵襲的に実施可能であることが改めて確認された。ただ症例によっては病状により急性期に実施不可能であったり、症例の入院期間によりフォローアップが途中で途切れたりと症例により情報収集量に差が見られた。またツールによっては現時点で新生児におけるvalidation自体が進んでいないものもあり、今後症例間の比較検討をするにあたり、データの解析方法から検討し直す必要があるものも見られた。ただしそれぞれのツールはもともと当施設で稼働中の研究プロジェクトでも使用されているものであり、解析方法が確立されているものも多い。これらのパイロット研究の成果を基に、今後はパラメータ収集の精度を上げること、時系列データの効率的な収集法を考えることになる。
2: おおむね順調に進展している
本年度の目的であった症例の蓄積、データの収集は進んでいる。急性期のデータ収集については病的新生児においても多くは施行可能であることが示された。また最終目標である発達予後の評価方法も外来診療で確立されている。
各種パラメータについて、取得したデータを解析可能な形に変換できるかどうかを検討する必要がある。近赤外線スペクトロスコピーや超音波検査など日常的に使用されていて、かつポイント毎に得られるパラメータの解析は比較的簡単にできるが、呼吸心拍情報や、体動を評価するアクチグラフなど長期連続データについては収集されたデータの解析方法に確立されたものがない。そのため解析方法から検討する必要がある。またより多くの症例を対象とするために情報収集スケジュールを再度検討する必要がある。
現在、呼吸心拍情報を取得できるモニターが2台のみであり、データ集積に限りがあり、呼吸心拍情報解析のためのソフトウェア、コンピュータが必要であるため。
呼吸心拍情報解析のためのソフトウェア、コンピュータを購入する計画がある。病的新生児は最低でも1週間は当施設に入院しており、長期連続データを継続して取得できることは本研究の特徴でもある。
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Therapeutic hypothermia and temperature management
巻: 4 ページ: 173-9
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
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International journal of developmental neuroscience : the official journal of the International Society for Developmental Neuroscience
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