マウス胎児脳の初期発生過程において、神経幹細胞は自己複製を行うとともに神経細胞を産生するが、この過程にヒストンアセチル化修飾がどのように関わっているかはよく分かっていない。本研究では、ブロモドメインを介してヒストンアセチル化修飾に結合し、転写制御に働くことが示唆されているBETファミリータンパク質 (BET) に着目した。BETが結合するH4K5acとH4K12acの発現パターンを解析すると、神経幹細胞のS期で強く発現することが分かった。さらに、BETの機能を阻害する化学薬剤を用いた解析から、BETは幹細胞の未分化性維持に重要な役割を果たす遺伝子群の転写に必要であることを明らかにした。
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